昨年実写化され、大きな話題となった「プーと大人になった僕」。
作中では、クリストファー・ロビンとプーが数々の冒険を行ったという趣旨のセリフや、それを連想させる仲間の言葉が幾度と作品内で登場しましたね。
100エーカーの森の仲間たちがもっとも冒険をした作品といって想像する作品をあげるならば、やはり「くまのプーさん/クリストファー・ロビンを探せ!」でしょうか。
同じ100エーカーの森の中のに、みんなの心が落ち込んでいるだけでこうも周囲の見方が変わってしまうものなのか・・・と子供のころすごく驚いた作品です。
プーさんファンからはストーリーの凝り具合が好評で、今でも名作と語り継がれている素敵なお話ですので、ぜひ物語だけでも知っておくと得をしますよ!
「くまのプーさん/クリストファー・ロビンを探せ!」ストーリー紹介
この項目では、何度も申し上げるとおりネタバレ要素を多く含みます。
そういった要素が苦手な方はブラウザバックをおすすめします!
ある夏の最後の日
物語の始まりは「夏の最後の日」。
プーさんは、自分がプーであることを誇りに思っています。
というのも、プーでいると一番いい時は大親友のクリストファー・ロビンがそばにいてくれるからだからなのです。
今日も100エーカーの森で一番大きな木の上でクリストファー・ロビンを待っていたのですが、やってきた彼はなんだか沈んだ表情。
そんな彼を察したのか察していないのか、プーは彼の話を聞かずにどんどん森の中へ進んでいってしまいます。
プーを追いかけたクリストファー・ロビンも、次第にプーと遊ぶことに夢中になってしまい、本来プーに伝えたかったことを忘れて一日を過ごしてしまいました・・・。
そして夕方になり、二人は楽しく話をしながら木の麓へ戻ってきます。
そんな中、クリストファー・ロビンが「自分ができなくなっても、何にもしないことをずっと続けて欲しい」とプーさんにお願いをします。
プーは「これからもずっと一緒にやろうよ」と言いますが、クリストファー・ロビンは言葉を選ぶように間を空けてしまいます。
プーはずっと一緒にいると信じ切り、その純粋な言葉がどんどんクリストファー・ロビンの発言を抑えてしまい、木登りで疲れたプーもとうとう眠たそうにしてしまいます。
そんなプーに、クリストファー・ロビン「君たちは思ってるよりずっと、勇敢で強くて、頭がいい。いつも君のそばにいるよ」と言葉を残し、それを聞きながらプーは眠りにつくのでした・・・。
ある秋の最初の日
深い眠りについていたプーは、いつの間にか自分の家のベッドで横になっていました。
窓から風に乗って飛んできた紅葉がプーの鼻に乗っかり、寝ぼけていたプーもやっと目を覚まします。
そう、今日から秋が始まったのです。
ホットチョコレートや焼きマシュマロなど食べ物に夢中になり、思わず枯れ葉の山に飛び込んだプーですが、思ったよりも高さの残る山に驚きます。
なんと、枯れ葉の山の中に、誰かが置いていったはちみつの壺が埋もれていたのです。
初めはいろんな言い訳を考えつつ自分で食べようと手を壺の中に入れてしまい、リボンで壺にくくられた手紙に気づかず、あふれたはちみつで手紙を汚してしまいます・・・。
その直後、もし誰かの忘れ物だったらどうしようか・・・そんな考えがよぎり、クリストファー・ロビンに相談することにします。
しかし、その日はどこを探してもクリストファー・ロビンに会う事ができません。
ピグレット、ティガー、ラビット、イーヨーにも聞いて回りますがそれでも会うことができず、汚れた手紙にやっと気づいたプーは文字が読めるオウルの家へ向かいます。
オウルはべたついたはちみつを剥がしながら、少しずつ文字を解読していくと、その内容はこうあったのです。
「プーへ 僕は 遠くへ 行く 食べられて クリストファー・ロビン」
会えないかもしれないという悲壮感に駆られると同時に、内容の仰々しさに驚く森の仲間たち。
その後、オウルの解読によって、クリストファー・ロビンは「『が』と『こ』の付く場所、つまり【骸骨】、しかも最も恐れられているガイコツザウルスの元へ向かったのだ!」と仲間たちに告げます。
最初は怖くて震え上がるしかなかった森の仲間たちですが、オウルに用意された森の地図とよくわからない鼓舞によって、急かしながらも見送られる形で冒険の旅へと向かいます。
ピグレットが見つけた「勇敢さ」
冒険の旅に出た仲間たちは、いよいよ100エーカーの森の中にある「知られざる場所」へと赴きます。
オウルの話では「森さえ抜ければ見つけることができるだろう」とのことでしたが、そこへ行くまでには「ズオウ」や「ヒイタチ」、そして「ガイコツザウルス」の驚異が待っているとも伝えられていました。
途中に聞こえた不気味な音で仲間がアタフタした姿を見たラビットはプーがリーダーの適性がないことを見抜き、「自分のように賢いものがリーダーをしなくてはならない」と勝手に引き受けてしまいます。
その後「静かで素敵な場所」と記された場所へ向かいますが、そこでも不気味な音は収まらず、おまけに変な植物や茨の茂みをくぐるところが多く、とうとうピグレットが恐怖心から走り去ってしまいます。
そのためいち早く「静かで素敵な場所」をくぐり抜けたピグレットですが、その先にたどり着いたのは緑が豊かで池のせせらぎが美しく響く庭園のような場所でした。
ひと安心したピグレットは、小さな木に留まっていた複数のちょうちょに関心が湧き、ちょうちょもピグレットに心を開いていきます。
後から追いかけてきた仲間たちにも「友達ができてよかったね」と喜ばれます・・・が、その直後ちょうちょたちが集まってきてピグレットを持ち上げてしまったのです!
小さいからね、仕方ないよね(´・ω・`)
高いところが苦手なピグレットは高く持ち上げられてしまい、目を開けることすら不可能な状態に。
なんとか空から引きずり下ろそうとする仲間たちですが、自由気ままに飛び交うちょうちょと目を開けないピグレットにやきもきさせられてしまいます。
クリストファー・ロビンの言葉を上手く思い出せず、ピグレットを勇気づけることにも失敗したプーは考え込みますが、その直後飛んでいたピグレットの足に服が引っかかり、ともに空へ飛んでいってしまいます。
プーの重みに耐えられなくなったちょうちょが、一匹、また一匹と離脱していき、とうとう最後の1匹になったところで落下してしまいます。
結果オーライでピグレットを救出できたプーにお礼をいいますが、プーはピグレットだって勇敢だと伝えて、改めてピグレットの心を引き締めます。
でも、まだまだ肝心なクリストファー・ロビンの言葉を思い出せず、ヤキモキする時間は続いていきます。
ティガーが見つけた「強さ」
ピグレットを救出し、仲間たちは更に森の奥へと進んでいきます。
しかしその頃には地図の内容とはまるで違う場所を行き来していて、もはや地図は用をなしていない存在でした。
それでもラビットはそのことを認めようとせず、プーたちの意見を押し切ってでも地図に全幅の信頼を寄せていました。
ところが、プーに地図の素晴らしさを伝えている矢先に木の枝に地図が引っかかり真っ二つに破れ、片方は風に乗って遠くに飛ばされてしまいます。
ティガーがいちはやくジャンプ力と素早さを活かして地図に追いつきますが、なかなかジャンプしても地図を取り戻すことができず、途中で自分の力強いジャンプに疑いを持つようになってしまいます。
さらに、ティガーがジャンプしていた影響で大木は崩れ落ち、崖の下に真っ逆さまに落ちていき、ティガーも崖の引っかかるところまで一緒に落ちていってしまいます。
仲間たちはティガーにお得意のジャンプで戻ってくるように言い放ち、ましてラビットは「遊んでいる暇はない!」と叱責してしまったことから、さらにティガーは自信をなくしてしまいます。
落ち込んだティガーの姿を見たプーはクリストファー・ロビンの言葉を思い出して元気付けようとしますが、曖昧な言葉を伝えてしまったことでティガーの落ち込み度はMAXに。
言葉では難しいと感じたプーは手を差し出しジャンプする距離を縮めようとしましたが、その影響で崖が崩れ、ピグレットの支えはあったものの中枢まで落ちてしまいます。
おまけに、ピグレットが支えのために掴んでいたツタも途中で切れてしまい、追いかけるようにラビットとイーヨーも助けに入り、全員が崖っぷちスレスレでティガーのもとまで落ちてしまいます。
なんとかティガーを捕まえることに成功しますが、とうとう仲間の重さに耐え切れなかったイーヨー・・・ティガーの質問に答えようとして、口にくわえたツタから離れ、崖から真っ逆さま!(lll゚Д゚)ヒィィィィ。
このシーン、昔何度見ても高所恐怖症の筆者には身が持ちませんでした((((;゚Д゚))))。
崖下は泥沼になっていて、仲間たちはなんとか全員無事にその場を持ちきったようですが・・・近くでは「ガイコツザウルス」と思わしき鳴き声が。
プーの忠告の言葉とともに大急ぎでその場を後にし、次の場所へと向かう仲間たちでした・・・。
ラビットが見つけた「頭の良さ」
逃げ出したプーたちは、霧の濃い森の中で彷徨い続け、どこが左か右かもわからなくなってしまっていました。
何度も何度も地図を確認するラビットですが、とうとうさじを投げ出してしまい、地図に載っていないクリストファー・ロビンの居場所はわからない、自分は頭が良くないからこれ以上は見つけ出せない、と嘆いてしまいます。
ここでもプーはクリストファー・ロビンの言葉を思い出そうとしますが、あともう少しのところで思い出せず、またしても曖昧な言葉を伝えてしまいます。
意気消沈する仲間たちの目の前には、大きな穴の空いた山が見えてきました。
プーは霧が晴れるまでの間、その中で休んで以降と提案し、仲間たちも次々プーのあとを追って山の中に入って行きました。
なんとか休憩することができたものの、ティガーの寝相の悪さにラビットはいらいらさせられ、とうとう寝付くことができなくなってしまうハメに(終盤までのシーンの中で唯一の癒しシーンですね(笑))。
そんなラビットの耳に、プーの独り言が聞こえてきます。
隣で寝ていると思ったプーでしたがそばにおらず、よく見てみると山に上って空から見える星空にクリストファー・ロビンの居場所を訪ねていました・・・。
そのシーンで使われた楽曲「どこにいるの?」を、ぜひこの動画からお聞きください。
後半からの日本語版は、日本語版エンドクレジット用のオリジナルソングです。
答えを出せないラビットにできるのは、眠りについたプーのそばに寄り添うだけ・・・誰もがクリストファー・ロビンの帰りを待ち続けていました。
そして夜が明けようとしたとき・・・とてつもない「なにか」がプーたちに差し迫っていたのです。
勇気振り絞って、進み続けよ
夜が更けてきたころ、ピグレットが目を覚まし、近くを散歩していました。
しかし目の前には大きな何かが見えてきたのです・・・地図にあった「がいこつ」の住居であろう場所でした。
仲間たちは進むも引くもできない状況で立ち止まるわけには行かず、霧が晴れた頃を見合って中に入り込みます。
ある程度進むと人数分の分かれ道が用意されており、いずれかがガイコツザウルスの下へとたどり着く正しい道でした。
みんなはラビットの答えを待ちますが、自信を失ってしまった彼はもはや答えすら出せる状況ではありませんでした。
そこでプーは、全員がそれぞれの道を進み、最終的に正解を見つけた人がクリストファー・ロビンを助けるという強行突破を仕掛けることを提案します。
提案に乗った仲間たちはどんどん道を選んで進みますが、イーヨーは道が崩れて落ちてしまい、ラビットは落とし穴に躓いて道なりに転がり、ティガーは穴に住むコウモリに気づかず驚かされ、ピグレットは驚いて走ったことで砂利道にはまりコロコロ転がってしまい・・・どんどんトラップにハマる仲間たち。
最終的に全員が中の水晶洞窟にたどり着きますが、正解の道を歩みもっとも早くたどり着いたプーの水晶に映った姿をガイコツザウルスと勘違いし、逆走してしまいます。
それに気付かなかったプーも、足を踏み外して水晶の滑り台で大きな水晶まで運ばれ、顔が挟まって動けなくなってしまうハメに・・・。
とうとう中心部に行ける近道であろう「ガイコツの目」を見つけますが、これまでいざという時判断を下していたプーがいなくなったことでたどり着ける自信がなくなってしまいます。
しかし、プーが教えてくれた「勇敢さ」「強さ」「頭の良さ」をもう一度振り絞って立ち向かい、プーを喜ばせようと考え、アイデアを出し合ってガイコツの目に向かう計画を立てます。
ガイコツの目に引っかかったツタをティガーのジャンプ力で掴み、ピグレットがツタを下に投げるという計画まで順調に進み、やっとみんなが揃う!・・・という時に、プーに事件が・・・。
やっとのことで挟まった顔を水晶から外したものの、そのはずみでまた滑り台に乗っかってしまい、プーは地下の水晶洞窟まで落っこちてしまうのでした・・・。
クリストファー・ロビンの言葉、そして再会
とうとう地下深くの水晶洞窟に落ちてしまったプーは、なんとか地上に戻ろうとしてもツルツル滑る崖に為すすべもなく、とうとうひとりぼっちになってしまったことを自覚します。
もうピグレットにもティガーにも・・・大好きなクリストファー・ロビンにも会えない・・・そのさみしさが心を覆い始めます。
その中でも、なんとか仲間たちに伝えたかったクリストファー・ロビンの言葉を思い出そうと必死になるプーさん・・・このシーンのプーの健気さは、本当に泣きながら見てしまうシーンでした(´;ω;`)。
そしてクリストファー・ロビンに伝えたい言葉を心で紡いでいき、ピグレットの勇敢さ、ティガーの強さ、ラビットの頭の良さを改めて彼に伝えたいと思うようになります。
そんな時、クリストファー・ロビンの声が心の中に響き渡ります・・・「君たちは思ってるよりずっと、勇敢で強くて、頭がいいんだよ」と。
その言葉で、プーはクリストファー・ロビンがそばにいなくても心の中にずっといてくれることを実感し、ひとりきりでももう寂しくない!と気丈さを見せます。
同じ頃、ティガーやピグレット、ラビットはやっとイーヨーをガイコツの目まで引き上げることに成功しますが・・・その直後に不気味な足跡と恐ろしい姿の影が見えてきます。
追い詰められ、もう絶体絶命だと思う仲間たちですが・・・その影と足音の主は、紛れもないクリストファー・ロビンだったのです!
実はプーに残した手紙の文面は、
「プーへ、心配しないでください。遠くへ行くわけじゃありません。学校に行って、午後には戻ります。はちみつでも食べていて。クリストファー・ロビンより」
というもので、無駄足な冒険だったことが発覚。
ただひとつ気がかりなのが、プーがもうみんなのもとにいないこと・・・ガイコツザウルスの鳴き声も聞こえ、仲間たちはプーがいなくなったことと恐怖心を実感します。
・・・が、実はこの鳴き声自体がプーのお腹の音だったことがわかり、音の居場所からはちみつのツボを落としたクリストファー・ロビン。
ツボの場所は見事プーの居場所を突き止め、お腹の空いたプーははちみつに吸い寄せられていきました・・・そして引き上げられた先で、クリストファー・ロビンとの再会を果たしたのでした!
一生変わらない、友情の誓い
クリストファー・ロビンと山を脱出した仲間たちですが、霧が晴れた頃と脱出した直後の山の姿を見てみると、まるで大きさも怖さも違って見えます。
なにか恐怖心が強いと、その周りも怖いものに見えてしまう、そう教えてくれたクリストファー・ロビンの言葉に納得し、今は全く怖くない仲間たちは、歌を歌いながら「知られざる場所」を抜けていきます。
ティガーの落ちた崖は浅瀬で、茨の道は綺麗なバラが咲き誇り、暗かった周囲は明るさを取り戻し・・・まるで冒険に出る前とは変わった光景になっていました。
ピグレットも高い所への恐怖心を克服し、ティガーやラビットも自分の強さや賢さを見つけ出し、イーヨーは普段の生活が戻ったことに対する安心感を示します。
そして夕方、プーとクリストファー・ロビンがまたあの大きな木の麓へやってきました。
クリストファー・ロビンは学校へ引き続き行かなくてはならず、午後には戻ってくるからずっと待っていて欲しいことを伝えます・・・自分が100歳になっても。
「その時、僕はいくつ?」
「99歳」
「約束する!」
「いつまでも?」
「もちろん。いつまでも、ずっと」
注目ポイント:心のあり方で変わる、最初と最後の森の風景に注目!
本来ならば2つのポイントを紹介していますが、何分ストーリーの説明で記事の長さが半端ない状態となってしまいました(;´д`)。
この作品の大きなテーマは「心のあり方」かなと、筆者は思います。
プーたちも、冒険に出る前はオウルの情報や不気味な物音、見たことのない世界が目の前に広がっていくのを感じ、心の中は恐怖心でいっぱいだったと思います。
それでもなんとかクリストファー・ロビンを見つけたあと、その音の正体やガイコツザウルスなんていないことを聞くと、それまで恐怖心だらけだった周囲が全然別のものに見えてきて、最終的にはそれらが思ったより驚異になっていなかったことを知りました。
私たちも、普段あまり手を出さない部分には食わず嫌いで見向きもしないかもしれませんが、それはひょっとすると自分の偏見なのかもしれません。
プーの寛大さに見習って、ちょっと前に進む心を持つことも大事かもしれませんね。